2026年4月 vol.293
2026年04月10日
新年度がスタートしました。街中で初々しい姿の新社会人を目にするたびに、30年前の自分にタイムスリップし新鮮な気持ちが蘇ります。この春、私の仲間の多くが人事異動により新天地へと旅立ちました。世代的にはサラリーマン生活の締めくくりとも言える年齢に近づいており、時の流れが交錯し深い感慨を覚えます。
さて、新年度を迎えると税制改正や様々な納税がスタートします。先陣を切るように固定資産税の納税通知書が届く時期でもあります。自治体の処理能力により異なりますが、仙台市は4月1日発送のため、既に皆様のお手元にも納税通知書が届いていると思います。その他の自治体においても4月から5月にかけて納税通知書が発送されます。真っ先に評価や税額をお知りになりたい場合は、当該の役所に出向くなどして名寄帳又は公課証明を取得することができます。参考までに、固定資産税の評価替えは3年に一度、3の倍数の年度となりますので次回は令和9年度となります。固定資産税評価額自体は原則変わらないですが、課税標準額により若干の調整が加味される場合がありますので、地価上昇の流れを受け、都市部の土地は評価替えの年度に関係なく増税になっている可能性があります。前号でも話しましたが、地価上昇を歓迎しているのは役所くらいのものです。特に固定資産税は地方税の4割を占めるほどの大切な財源なのですから。
そして、先ごろ国土交通省から令和8年1月1日時点の公示地価が発表されました。全用途での全国平均が前年比で2.8%のプラスを示し5年連続のプラスとなり、伸び幅はバブル期以降最大となりました。東京圏と大阪圏ではオフィス需要が高水準で推移し、投資マネーが地価を押し上げたと見られていますが、名古屋圏並びに札幌・仙台・広島・福岡の地方4市は上昇率が縮小しています。公的評価では地価の上昇基調は続いているとは言え、不動産を取り巻く環境は目まぐるしく変化し、地方ほど上値が重く感じられます。背景には、建築費高騰による再開発の遅れなどの影響があると考えられ、オフィス需要と賃料の伸び率の限界が大都市圏と地方圏の明暗を分けていると断言できます。
その地方都市の現状はと言うと、市街地の再開発の遅れや中断は深刻なものがあります。地方と言うとシャッター通りと揶揄される商店街が象徴的でしたが、最近は再開発や建て替えが立ち行かなくなり、スチールパネルで覆われた現場や暫定的に駐車場として利用されている土地を多く見かけます。建築費の高騰で事業採算が確保できないことが要因と考えられますが、仙台市ほどの100万都市も例外ではなく、事業費を吸収しきれない地方ならではの切実な問題であり、東北の玄関口が手付かずの状態になっていることは何とも寂しい限りです。もう一つの現実とは、地方圏は交通手段が限られるため、地元の企業ほど駐車場のニーズが高く、出し入れやコストの面でも郊外拠店の方が合理的なことが挙げられます。かつ、多くの地元企業は自社物件比率が高く、高いコストを払ってまで中心部に拠点を構える必要性が少なく、テナント需要も中央企業頼みであることを象徴しているかのようです。よって、どこの都市も金太郎あめのような個性のない街に成り下がってしまったと言わざるを得ません。
都内では丸の内、大手町エリアのビルがほぼ満室稼働のため、東京駅周辺では八重洲地区のビル賃料がアップしていると聞きました。新宿方面から東京駅方面を臨むと高層ビル群に驚きますが、駅周辺のビジネス街は、今やアフターファイブを楽しめ観光客さえ誘客できる洗練された街区に変貌を遂げています。都心のビルラッシュで東京一局集中が加速する中、都心では住宅価格高騰により住職近接が困難になりつつあります。
ウクライナ侵攻以降その戦火が世界的なインフレを引き起こしたことは周知の通りですが、中東情勢の緊張が追い打ちをかけエネルギーを巡る問題が世界中に飛び火し混乱を招いています。多くの産業資材に石油原料が用いられていることから、春以降も物価高の嵐が続くとされています。多くのパーツの組み合わせで完成する住宅は部材の高騰に加え、人件費や輸送コストなど、どれをとっても下がる要素は見あたりません。インフレ圧力と金利上昇で住宅を取り巻く環境も厳しさを増しており、住宅価格や家賃上昇が家計の格差を助長する要因になっているとの見方もあります。
