2026年2月 vol.291
2026年02月10日
立春を迎えましたが、北日本や日本海側では災害級の大雪が続いています。列島を二分するような寒さを前に、ただただ天候の回復を祈るばかりです。
さて、こうした状況を置き去りに衆院選が繰り広げられております。このコラムが世に出る頃には選挙結果が出ています。国民はどのような選択をし、我が国にはどのような未来が訪れるのでしょうか?
円高は悪との御旗の元で、政府はデフレ脱却を掲げ円安誘導を続けてきましたが、世界的物価高と円安に見舞われた結果、皮肉にもボディブローのように経済を蝕んでいると言って過言ではありません。特に我が国の場合は、失われた30年間でデフレと金利のない世界に浸かってきたことも影響し、他国と比較してもインフレ圧力によるインパクトが強烈なのだと感じます。物価高のアメリカではハンバーガーセットが1600円程です。10年前の倍の水準まで上昇したと聞きますが、10年前の我が国を振り返って見て下さい。デフレの象徴とも言うべきハンバーガーセットや牛丼といったファストフードは、ワンコインすなわち500円で足りたはずです。現状はと言うと、さすがに倍までには達していないまでも、肌感覚では1.5倍ほどの上昇を実感する日々です。読み直せば、これも国力の差と言わざるを得ません。すなわち、従来のサービス業による低価格帯での提供は、デフレによる低賃金の上に成り立っていたものであり、昨今の人手不足に伴う人材の争奪戦で今後は物価高が収まろうとも、実現不可能な水準であると理解しておくべきでしょう。なんとも生きづらい世の中ですね。
政府主導による賃上げ誘導は一見頼もしくさえ思えましたが、体力的に呼応してきた大企業は輸入物価上昇による資材等の高騰に加え、賃上げの原資を価格転嫁により補っている感も否めず、好循環とは程遠い印象を受けます。当然のことながら、大都市圏よりも中小企業が中心の地方では、資産インフレの恩恵を享受できる層は少なく、生活はより逼迫していると断言できます。飛行機の胴体に例えるならば、機首が都市部で尾翼が地方です。前者が先行して経済を浮上させますが、経済が縮小する末期には後者である機尾から着陸します。正に我が国の経済を表しているかのようです。
つい先だってまでは、多くの不動産関係者が地価上昇を歓迎していたはずです。ところが、今となっては地価高騰にほくそ笑むのは国や自治体だけではないでしょうか。なぜならば地価に比例し公的評価が上昇し、相続税に固定資産税、そして不動産取引による登録免許税や取得税、譲渡税などの税収増が期待できるからです。現在の地価上昇と建築費高騰に対し、人々の所得が追い付いていないことは、これまでも何度も触れて参りましたが、買うにしても借りるにしても算盤が合わなくなっているのです。何も住宅に限ったことではありません。店舗などの出店コストは、売り上げとも密接な関係にありますので、建築費や賃料などの上昇で新規出店さえ立ち行かなくなります。ホテルや旅館に至っては、庶民が少しの贅沢と思い背伸びしようにも届かない価格水準に達しているとも言えます。この状況下での二十数年ぶりとなる金利水準は、企業の設備投資を鈍らせ経済にブレーキをかける可能性があります。選挙戦では消費税廃止の議論が活発に交わされていますが、次に待ち構えるのは財政不安と消費税再導入時での事実上の増税を果たして社会が受け入れるのか否かの難題です。そこで、物価高の根源とも言うべき円安是正こそ急務と思われますが、これが国力の評価であるならば、現在の為替相場でも物価安定を図れるような食料やエネルギーといった自給率の強化を推し進めるなど、経済の安定を維持しながら大変難しい舵取りが迫られます。以上、完全にワイドショーに感化されてしまいました・・・。
たどり着くところは、「取れるところから取る」の増税です。消費減税などの財源不足の穴埋めは、高額所得者や法人税、相続税などで穴埋めするしかない有り様です。機会を見て税調で検討され国会で審議入りするであろう、貸付用不動産の5年縛り(評価見直し)についても触れたいと思っています。
