2025年11月 vol.288

2025年11月10日

 街路樹が色づき始め街では冬の装いをした人たちが足早に家路へと急ぐ、そんな夕暮れ時の光景に季節の移ろいを感じます。一方、冬を目前に各地でアーバンベアの目撃情報や被害が相次いでいます。今、過疎化の加速により熊の活動エリアが拡大し、我々の生活圏が脅かされようとしています。

 

 政局では、与党から公明党が離脱したかと思えば、新たに維新が加わり憲政史上初となる女性総理の誕生を後押しし、高市内閣が発足しました。発足直後の高い支持率は、物価高で疲弊した国民の期待の表れだとも言えます。しかしながら、外交安全保障、政治と金に議員定数削減や外国人を巡る政策など課題山積の中での船出は、決して視界良好とはいかないようです。

 

 海の向こうからは嬉しいニュースが飛び込んできました。メジャーリーグドジャースが大谷選手、山本投手、佐々木投手の異次元の活躍により、球団史上初となるワールドチャンピオンシリーズ2連覇を果たしました。一昔前まで、日本人選手が世界最高峰の舞台の中心に並び立つ雄姿を誰が想像したでしょうか。彼らは若く、まだまだ発展途上ですので更なるパフォーマンスを期待してしまうのが常というものですが、来シーズンも温かく見守りたいと思います。

 

 さて、この機会にアメリカ(29球団)とカナダ(1球団)の30球団で構成されるメジャーリーグの歴史について少しだけ触れてみたいと思います。時代は遡ること1850年代、アメリカ東部地区で発展したニューヨークスタイルのベースボールが全米各地に普及し、最初のアマチュアリーグが誕生しました。1869年にはプロ選手のみで構成したプロチームが誕生し、その後、分裂や再編を繰り返しながら1876年に誕生したナショナルリーグが現在のメジャーリーグのルーツとされています。その後も様々なリーグが誕生し、ナショナルリーグと他リーグの優勝チーム同士が対戦したのが現在まで続くワールドシリーズの歴史となります。一方、現在のアメリカンリーグはウェスタンリーグというマイナーリーグが1900年に改称し誕生したものです。厳密には1903年のナ・リーグとア・リーグの共同事業がメジャーリーグの始まりとされていますが、その後の再編により、MLB機構は米プロ野球100年の節目となる1969年を機に過去に存在したリーグも含めメジャーリーグとして認める決定を下しました。野球は記録のスポーツとも言われますが、これまでの統計や記録も消滅したリーグのものが含まれますので、数々のドラマや珍記録誕生の裏側に歴史的背景を垣間見ることができます。

 

 そして、野球の神様と言えば元祖マルチプレーヤーのベーブ・ルース選手でしたが、記録と記憶の両面において彼の功績は今もなお野球史に燦然と輝くものであり、一時下火となったアメリカでの野球人気を不動のものにしたのです。その偉大なプレーヤーの記録を我らが誇る大谷選手が次々と塗り替えているわけですから、歩く銅像と称える以外に形容詞が見つかりません。

 

 アメリカでは、メジャーリーグを大きく凌駕しアメリカンフットボールがダントツの人気を博し、NFLのワールドゲームズともなれば国民的イベントと言っても過言ではないほどです。次いでベースボール、バスケットボール、アイスホッケーの順と続き、北米4大プロスポーツリーグに数えられています。日本のプロスポーツビジネスで最も先行しているのがプロ野球と言えますが、日本のプロ野球の売上高は1995年時点でメジャーリーグと同程度だったと言われています。奇しくもこの年は、近代野球において日本人選手として初めて野茂英雄投手が海を渡った年でもあります。少し前の資料ですので現在は更に差が広がっていると思いますが、今ではメジャーリーグに売上で5倍以上の差を付けられ、メジャーリーグ選手の平均年俸はプロ野球選手のおよそ10倍です。MLBビジネスの今日の成功は、メジャーリーグ全球団が早くから協力し合い、MLB機構が放映権などを一括管理するなどしてコンテンツの価値を高めてきたことにあります。その豊富な資金を元手に外国人選手を補強し、エンタメ性を高め、世界最高峰の地位を揺るぎないものにしたのです。

 

 その世界最高峰のベースボールリーグで今年は16人の日本人選手がプレーしました。来年も日本のサムライ達が海を渡り挑戦を続けようとしています。早くも来年のメジャーリーグ開幕が楽しみですが、反面、スタープレーヤーの相次ぐ流出で日本プロ野球界の未来を悲観せずにはいられません。