2025年9月 vol.286
2025年09月10日
9月に入りました。比較的夏は涼しいとされる仙台ですが、去る9月2日には観測史上最高の37.4℃を記録するなど厳しい残暑が続いています。体調の変化はもちろんのこと、農作物の高温障害など、異常気象による日常生活への影響が懸念されます。
さて、最近、連日のようにマンション価格の高騰が報じられています。特に首都圏のマンション価格は上昇の一途を辿っているようです。大手不動産調査会社東京カンテイの調査によると、東京23区内における新築マンション(分譲価格の坪単価を算術平均し70㎡あたりの価格に換算=1億2362万円)では、住宅ローンの借入金額として無理のない資金計画の目安とされる年収倍率7倍を基準とした場合、年収600万円の世帯から見た年収倍率は20.6倍に達しています。ちなみに、同エリア内では年収1500万円の世帯でも年収倍率が8.2倍となることから、都心のマンションの購入は年々ハードルが高くなっていることが窺えます。ここで私が注目したのは、同じく23区内の築10年の中古マンション価格です(売り希望価格の坪単価を算術平均し70㎡あたりの価格に換算=1億2161万円)。机上では、前出の新築マンション価格に肉薄していることが分かります。また、他機関の調査結果からは、都心の中古マンションの中で億ションが占める割合は、ステイタス性の高い港区や千代田区では半数を超えるとのデータもあります。その数は10年前の16倍に急増しており、同エリア内で流通しているマンションのうち億ションが占める割合は実に7戸に1戸にも上ります。
データが示す通り、新築マンションが相場を押し上げていることは明白ですが、中古マンション上昇にも理由があります。それは、バブル崩壊以降長引く不況下で企業が好立地に所有する遊休地を手放し「駅近、大規模、タワー」といった好条件のマンションが供給された過去に遡ります。不毛とも形容すべき時代と低コストを背景に豪華な仕様が多いことがこの時代のマンションの特徴で、こうした物件が現代の新築マンションと比較しても遜色ないことが再評価されているからに違いありません。更に昨今の物価高騰を受け新築マンション価格の上昇が追い風となり、潜在需要が喚起され売り側の期待値が相場を押し上げ、その含み益による買い替えの動きも好循環をもたらしていると言えます。
市場の過熱は、実需によるマンション需要の高まりに加え、投機対象となっている側面が強いと考えられています。これを重く受け止めた国交省は実態の把握に動きだし、先んじてマンションデベロッパーの中には自主的に転売禁止のルールを定めて販売する例も見られます。また、千代田区では、一定期間内での転売禁止するようデベロッパーへの要請を始めましたが、これらの成果が得られるまでには時間を要し効力も限定的と思われます。
世界の大都市と比較した場合、都内の不動産はまだまだ割安であり、これに円安が外国人投資家の購買欲に拍車をかけています。また、新築マンションの販売価格は、土地建物の原価高騰と限られた供給量から今後も上昇するとの観測が大勢を占め、新築、中古ともに買い急ぎの動きが下支えとなり、住宅を資産としてとらえる層や投機目的での購入に踏み切る人々の需要は底堅いと考えられます。一方、気になる点としては、売り出し価格と成約価格の差異、在庫件数の増加や成約期間の長期化が数値で表れており、市場は明らかに過熱気味であることが読み取れます。
人口動態統計によると、住宅取得者の平均年齢は男性の平均初婚年齢が31.1歳、女性が29.7歳となっています。更に住宅取得年齢は40.3歳とされていますから、住宅ローン期間40年の完済年齢は80歳に達する計算になります。住宅価格の上昇に伴い、当然のことながら借入金額自体も増えていますので、貯蓄や保険の運用、退職金による繰り上げ返済など綿密なライフプランが求められます。特に最近増加傾向にあるペアローンなどは慎重に考えるべきでしょう。
