2020年5月 vol.222

2020年05月10日

 

今年のゴールデンウィークは、新型コロナの緊急事態宣言を受け、全国的にステイホームの我慢週間となってしまいました。まちからは子供たちの遊び声が奪われ、市街地も歓楽街も観光地も自粛要請により静まり返ってしまいました。

そして、前回のコラムから1ヶ月で世の中も大きく変わりました。当初7都府県に発令された緊急事態宣言も今や全国が対象地域となっております。感染者の増加とともに混乱する医療現場、後手後手に回る政治決断。政府は経済のみならず、各方面への影響をずいぶんと過少に評価していたのではないでしょうか。報道では中小零細の疲弊ばかりがクローズアップされておりますが、大小問わず影響はほとんどの業態に及んでいることは容易に想像がつきます。そして、コロナ関連倒産は増加の一途をたどっておりますが、このままでは経済が持たないのは明白で、緊急事態宣言の延長と経済のバランスをどうとるか難しい舵取りを迫られます。

 

さて、件数の公表は差し控えますが、この1ヶ月の間に私どもに寄せられた賃料減額交渉は結構な件数に上ります。仙台で実際にコロナの影響が出始めたのは3月中旬くらいからだと考えられますので、1ヶ月間の売り上げの推移を見て値下げ交渉に踏み切るテナントが多いようです。テナントの体力も様々ですが、足元の資金流出を防ぐ目的で早めに手を打っておきたい心理に加え、いつ事態が収束するのか先の見えないことへの不安感が大きく働いているものと考えられます。国交省はこれらの要求に柔軟に対応するよう通達を出しておりますが、オーナーサイドも返済や維持費等の負担を抱えており、テナント=弱者との誤った認識が浸透していることに少々違和感を覚えます。

ここからは、直近の不動産市場についてリサーチ会社の調査結果に私の肌感覚を交えお話しておきたいと思います。まず、住設メーカーのトイレやIHヒーターなどの納期遅れは海外工場の再開により徐々に回復に向かっており、現場の遅れは最小限に抑えられているレベルにあるようです。大手の不動産会社やハウスメーカーは、在宅勤務にシフトし社外面談禁止の徹底がなされており、住宅展示場やモデルルームの時短や閉鎖、各種イベントの自粛により営業活動がかなり制限されております。3月のハウスメーカー主要各社の受注速報では戸建て住宅を中心に落ち込みが目立ちますが、コロナの影響が数字に表れてくるのはこれからです。例年4月は年度末の反動減や、住宅系の営業はゴールデンウィークに長期休みを取る傾向が強く、一服感が見られるのが常です。展示場などのイベントを打っても旅行やレジャーが優先され、あまり集客に結びつかないことが多いのですが、この自粛要請で一層の停滞ムードは避けられそうにありません。但し、業界自体が自粛している分、各社がその間に価格を下げるなど際立った動きも見られませんので、本当の意味での影響が出始めるのはもう少し先になるのではないでしょうか。また、どの業界にも共通することとして、アフターコロナに向け事態を静観する動きが随所に見受けられますが、販売戦略や土地仕入れなどはこれから各社判断が分かれることになるでしょう。

 

一方、消費者は連休と自粛で時間を持て余している方が多いのも事実です。実際にテレアポなどでは普段つながらない先が電話応対するケースや、メールの返信数が上がっているとの報告もあります。同様にインターネットを通じてこまめに物件を検索する機会も上昇しているようで、意外にも物件の閲覧件数が増えていたりします。傾向としては、中堅クラスのサラリーマンがターゲットとなる中価格帯の物件の動きが鈍く、一次取得者向けの廉価な建売は比較的堅調のようです。その理由として、前者は将来ボーナスや給与が下がるのではないかという不安が理由で、後者の場合は年収が下がれば来年は住宅取得のチャンスを逃してしまうとの心理が働いているようです。いずれの場合もコロナによる影響が消費動向を左右していると言えます。ここで注視すべき点は同じ住宅でも建売と注文住宅で動きが異なる点です。最近の注文住宅の場合は、土地購入とセットの商談がほとんどですが、高値相場が続いていたため、コロナショックで土地が下がるのではとの憶測から一部で決断を躊躇する動きがみられているのだと思います。もちろん、総額も中価格帯以上となることが多いので、前出の建売と同じ不安心理も働いていることでしょう。更には、自粛により打ち合わせが制限されることで潜在的な需要を取りこぼしているとも考えられます。

最後に、都心の一等地などでは取引の主役が変わることは必至で、虎視眈々と急遽風向きの変わった土地を狙う動きが活発化しそうです。