2019年2月 vol.208

2019年02月10日

立春を迎えました。正に季節の変わり目に相応しい春の陽気となりましたが、このまま一気に春到来とはいかないようです。仙台の2月は冷たく乾いた季節風の影響で毎年厳しい寒さを記録します。春まであと1ヶ月、インフルエンザが猛威を振るっているそうですので風邪などひかぬようご注意下さい。


  さて、以前に節分について調べた記憶がありますが、恥ずかしながら日常の生活の中でその由来について知らぬことが意外にも多いものです。また、伝統や文化の中には時代と共に簡略化され、その意味や重要性が薄れてゆくものもあるでしょう。そろそろご準備をはじめられるご家庭もあると思いますが、今回は3月の雛祭りについて簡単に触れてみたいと思います。諸説あるようですが、もともとは平安貴族の子女の遊びごととして行われたものが「流し雛」や「守り雛」と形を変え、災厄よけとして祀られるようになったのが起源で、江戸時代に入ると節句の儀式(旧暦の桃の花が咲く頃)として広まったとされています。その後は人形に災厄の身代わりをさせるという意味合いが強くなり、子を想う親心から武家や商家を中心に嫁入り道具のひとつとして雛人形が用意されるようになりました。すると次第に人形や飾りつけも象徴的に華やかで贅沢な作りに変化していったものと考えられています。現在では、旧家の雛人形などの展示はその地域の季節の風物詩となりつつあり、その贅沢かつ歴史的情緒は、当時の栄華を今に伝えるものとして大切に受け継がれています。

  話は変わりますが、昨年末あたりから世界の経済情勢が不安定になって参りました。アメリカ国内ではねじれ議会によりトランプ大統領の政権運営が厳しくなり、先の教書演説ではところどころに従来の強気な姿勢を軟化させる発言も目立ちました。そして、交渉期限が迫る中国との貿易協議においてもどこかで手打ちするであろうというのが多くの市場関係者の見方です。したがって、昨年末のような世界同時株安は回避できると思いますが、当面の懸念材料が出尽くしたとは言え、元々これを織り込み済みの市場が好感し大きく株価が上昇に転じることはあまり考え難いでしょう。むしろ、精彩を欠く中国経済に連動し、株価はのらりくらりと推移するのではないかと素人の私は考えます。

 

  年頭にもお話した通り、不動産市場を取り巻く環境も幾分不安定になって参りましたが、バブル崩壊のように不動産市場全体がクラッシュすることは無いというのが大方の予想です。決して楽観や希望的観測ではありませんが、潜在需要はいまだ旺盛で潤沢な資金はまだまだ眠っているものと思います。その背景こそが失われた20年とそれを加速させたアベノミクスがもたらした富の集中と格差の縮図と言えます。一方、足元では販売用不動産の在庫がダブついているのも事実であり、不動産各社の土地仕入れの判断にも少なからず影響が及ぶものと思われます。そして、今年後半に予定されている消費増税の駆け込み需要ですが、業界から聞こえてくる声は前回の増税時ほど駆け込みが少ないという現実です。これは政府が増税後の景気刺激策を打ち出すことが確実視されており、どのタイミングでの購入が得策かを消費者が冷静に判断していることが一因と考えられます。加えて、宮城県では東日本大震災後の特需により、需要を相当先食いしてしまった感があります。震災後の大量供給は不動産各社の仕入れ意欲を旺盛にし、市場は大いに盛り上がりました。しかし、その弊害として土地を探す消費者に情報が行き渡らず、ハウスメーカーは需要が底堅いにもかかわらず受注が伸び悩むというジレンマに侵されつつあります。また、長らく続くゼロ金利政策も高騰する地価と建築費を下支えするくらいのインパクトに乏しくなってきたのではないでしょうか。不動産投資市場でも、御上の通達により銀行の貸し出し姿勢に若干の硬化が見られるのも事実で、ジャブジャブとお金が貸し出される状態は今や過去の話になりつつあります。この市場のメカニズムにより不動産取引成立が鈍化し、当然ながら意味なく吊り上った不動産価格は需給関係が逆転し沈静化するのではないでしょうか。但し、プレミアム感の高い不動産はまだまだ底堅いと思いますので、売る際も買う際も地域の中での二極化を見極めていく必要があると思います。