2016年2月 vol.172

2016年02月10日

 立春が過ぎ、心なしか寒さも和らいできたような気が致します。それでも、ここは東北仙台。二月いっぱいは寒さに注意が必要です。皆様、風邪などひかぬようご自愛下さい。


 私はここ数年来、友人に誘われ節分の厄払いに参加しております。続けていると、これも気のせいか運気が向上しているような気がするわけです。余談ですが、中国では旧正月にあたる春節に水餃子を食する習慣があるそうです。日本でいう年越しそばのようなものだと思うのですが、水餃子を食べると富をもたらすとか子孫繁栄といったご利益が得られるそうです。今年の春節は2月8日からのようですので是非ご家庭で試してみて下さい。
 

 さて、その中国ですが、経済の減速が見られるのは今に始まったことではありません。既に中国政府はこれまでの高度成長を中成長に転換することを宣言しており、世界経済への影響が懸念されております。火種は中国国内だけの問題にとどまりません。マスコミが取り上げる日本国内での爆買いなどというのは対中貿易の規模からみれば大きな数字ではありませんが、対中向けの輸出産業が受けるダメージは深刻です。また、中国への依存度が高いアセアン諸国、資源バブルがはじけた国々などがそれぞれにリスクを抱えており、リーマンショック後に先進国の経済を下支えしてきた新興国経済が狂い出せば、世界経済への影響は回避できません。前回もお話しましたが、日本経済は底堅い感じがするのですが、諸外国の外的要因ばかりは防ぎようがありません。
 

 これに対し、予防線を張るかのように日銀はマイナス金利を打ち出しましたが、果たしてどれだけの効果が得られるのでしょうか?昨年後半は、金融庁が金融機関に対し不動産融資の比重をけん制する動きを見せておりますが、マイナス金利が続けば、銀行は不動産融資に積極的に融資せざるを得ないのではないでしょうか。結局のところ、企業は比較的業績が良いため、ある程度の資金は自己資金で対応することができますし、そもそも国内市場への将来不安から設備投資自体に消極的なわけです。良く聞く話ですが、銀行が貸したいところには資金が潤沢で、本当に資金を必要としている先には貸し倒れリスクがつきまとうので貸せない。そうすると金余りが解消されず、資金がダブつき、銀行は準備預金を日銀に預けると逆に利息がかかりますので安全な国債などの投資に回り、国債の利回りの低下にもつながります。
 

 となると、比較的担保が確保でき安全な不動産融資に資金が回るのではないかと思います。奇しくも時代は相続税の改正に伴い、富裕層の間では相続対策の一環として不動産投資が積極的に行われております。投資環境としては、地価と建築費の高騰を補完するかのように昨今の低金利と景気回復による賃料の上積みがあります。仮に事業単体で収益性が確保できない場合でも、事業主の資産背景を担保に資金はどんどん供給されます。
 

 不動産投資というと真っ先に思い出されるのが総量規制です。総量規制とは、1990年に土地の高騰を懸念した当時の大蔵省が金融機関に対し不動産向け融資の抑制を通達した行政指導のことを指します。規制が解除されるまでの2年余りの間に土地高騰の抑制どころか、バブル崩壊の引き金となったと言われています。しかし、今回のバブルの主役は投資会社や一部の富裕層に限りなく集中しているため、総量規制のような動きには至らないのではないかと思います。
 

 私が懸念するのは、昨年後半あたりからの株安により、前出の主役たちの投資マインドに少なからずマイナスの影響を及ぼしているのではないかということです。これまでのマーケットは先高感による期待感と安心感、乗り遅れないようにとの心理が下支えしていたと言って異論を挟む人は少ないでしょう。ところが、相場が調整局面に向かうと様子を見る傾向が強くなり、連鎖的に取引が低迷すれば更に市場に資金がダブつくという構図になりはしないでしょうか。今後の市場から目が離せません。