2015年2月 vol.160

2015年02月10日

 立春をむかえ、春の兆しが見え始めるかと思ったのもつかの間、一転して東日本を中心に厳しい寒さに覆われております。


 読んで字の如くですが、節分とは季節を分ける節目を意味するもので、四季のある日本において古来の宮中では年に4回節分の行事が行われていたと伝えられております。昔は、季節の始まりには邪気が生じると考えられており、それを追い払うための行事と位置付けられていたようです。このような風習が江戸時代に移ると庶民の間にも定着し、特に長い冬が明ける立春をむかえる2月の節分が伝統的に継承されたものと考えらえています。 
 

 ところで、節分にはなぜ豆をまくのでしょうか?穀物には生命力と魔除けの力があるとされ、鬼の目に豆を投げる行為が「魔目」、「魔滅」に通じるとの言い伝えから一年の無病息災を願ったということです。もうすぐ春です。そう言えば、つい先日、出張で東京に立ち寄った際、通りの庭先に梅が咲いていました。東北の春の訪れはあと1ヶ月半ほど待たなければなりませんが、その分一層春が待ち遠しく感じられます。
 

 さて、最近は企業のリスク管理が重要であると思わせるようなニュースが相次いでいます。労働問題に品質や安全管理、個人情報に至るまで様々です。加えて、グローバルな展開をしている企業にとって為替の変動や原油等の相場で大きく業績が左右されます。労働問題ではブラック企業のレッテルを貼られてしまった企業が人材確保に奔走し、品質や安全管理においては、一度失墜した信用を一朝一夕にして取り戻すことは困難です。また、個人情報の漏えいに対する補償や対策には企業の利益が吹っ飛ぶくらいのダメージを受ける場合もあります。大企業が公器として社会的責任を負っているとはいえ、マスコミやインターネットの影響力の強さを痛感せずにはいられません。
 

 それだけに、大手ファストフードチェーンの一連の異物混入問題はインパクトの大きいものでした。中国工場での不祥事に追い打ちをかけるかのように、販売の現場においても様々な問題が発覚しました。すると、連鎖的というか次から次に他の企業からも重大発表が相次ぎました。最近では、万に一つの可能性でも自主回収が当然という流れが主流となり、ちょっとでも対応が遅れると企業の存続すら危ぶまれるような窮地に追い込まれます。例えが悪いかもしれませんが、これが町の食堂で定食に異物が混入していた程度であればこれほど大げさに取り上げられることはありませんが、ビッグネームになるとやり玉に挙げられてしまうのです。大体、一日に何万食もの製造をこなし販売をしたりする過程の中で100%を目指しても100%はありえないのですが、ありえないモノが入っているから問題なわけです。品質や安全管理に関する意識や技術は一昔前に比べ明らかに高まっているはずです。それにも拘わらず、こうした問題が明るみになるのはSNSなどの普及により情報が瞬時に拡散するからに他なりません。一方、事態の幕引きを図りたい企業側にとっても、早期収拾を打ち出す中でパフォーマンス的な意図も見え隠れしており、根本的な解決策が講じられていないケースも少なくないように思えます。
 

 特にFC店の場合、全店が統一の基準を持ちながら独立性が確保されているのが一般的です。オーナーは本部が蓄積したノウハウの提供を受けることができますし、消費者にとっても全国どこでも同じクオリティとサービスを享受できるメリットがあります。ところが、同じ看板を掲げる店が複数展開されている以上、良くも悪くも本部や他店の影響を受けやすいという点も事実です。今後もビジネスは時代のニーズに合わせ変化を続けて行かなければなりません。良い品質とサービスの提供はもちろんですが、危機管理という点において、些細なことでもネタになれば全世界に拡散するということを常に意識しなくてはなりません。それは、マスコミではなく、消費者の視点によるところが大きいということです。