2014年6月 vol.152

2014年06月10日

 日本列島は梅雨前線に覆われ、本格的な梅雨シーズンに突入しました。暑い夏も目前に迫っておりますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。私どもマックスホームにとりまして6月は新年度の始まりでもあります。おかげ様をもちまして今期で第41期目の事業年度を迎えるに至りました。そして、今期のテーマは「突破力」です。これには、設定した目標を具現化するための行動力と決して諦めない気持ちをもって困難を突破する意味が込められております。今期も皆様のお役にたてるよう引き続き努力して参る所存でございます。


 さて、先日、大手ファストフードチェーンの一部の店舗がスタッフ不足を理由に一時閉店に追い込まれていることが話題となりました。昨年のニュースだったと記憶しておりますが、それより以前に、大手ラーメンチェーンでは人材不足が深刻なことを理由に出店を減速させることをプレス発表していたことが思い出されます。人材不足は外食産業に限ったことではありません。スーパーやホームセンター等でも人材不足や建築費高騰を理由に新規出店計画を見直す動きが相次いでいます。また、先日もLCC機が機長の確保ができず欠航を余儀なくされる事態が発生したばかりです。建設現場では被災地からオリンピックを控えた首都圏への職人の争奪戦が繰り広げられています。介護労働者人口は向こう10年で100万人不足するとの試算も出ているそうです。 
 

 日本国内では、長引く不況と国際競争が激化する中、経営側が非正規雇用に依存してきた昨今の事情もあり、それを後押しするように労働派遣法が幾度か改正されてきた経緯もあります。経営側にとって国際競争力という観点で人件費の変動費化は不可欠であり、労働側にとっても自由に働き方を選べる点で互いにこの制度を都合よく活用してきたことも否定できません。特に1990年代後半からの労働派遣法の改正や成果主義方式は、これまでの終身雇用、年功序列といった日本の雇用制度の転換点だったと言えます。
 

 少子高齢化に伴い、我が国の労働力人口も減少の一途をたどろうとしています。政府は初めて1億人の人口を維持するとの見解を示しましたが、具体的な対策はこれからであり、旗は揚がったもののその成果を目の当たりにするのは相当先の話のような気がします。人口減少に比例するように向こう50年後には我が国の労働人口は現在の半数近くにまで減少するとの試算が発表されております。就職氷河期と言っていたのは今や過去の話になりつつあり、企業にとって人材の確保は大きな課題となります。
 

 歴史は繰り返すとは言いますが、労働者の黄金時代と呼ばれた時代がありました。13世紀から14世紀ごろのヨーロッパです。当時、ヨーロッパではペストの流行で多くの人民の命が奪われ、労働力を失いました。希少な労働力を確保するため、資本家らは高いコストを払うことになりました。多くの権力者達が自らの権利を守るためにできたのが王政です。王政により権力を集中させ資本家たちは自らの利益を確保したのです。権力の集中とは現代で言う政治力です。今回で言うところの法人税減税や労働時間改革が多少該当するかもしれません。力で民を抑圧するようでは論外ですが、一方で労使間は信頼関係により成り立っていることが前提であり、あまりにも労働環境に過敏に反応し過ぎると、かえって競争力を失ってしまうのではないかと心配してしまいます。そういう点において労働時間改革は、業務の生産性を上げるという点で私は高く評価します。加えて法人税減税(と言っても黒字企業は3割程度と言われています)による効果が設備投資や人件費などに回ることで好循環が生まれることを期待したいと思います。
 

 団塊世代の退職により、企業のコスト構造は軽減されつつあります。そこに労働人口減少という新たな問題が押し寄せています。人材確保と技術継承は日本の企業にとって喫緊の課題となりそうです。定年制の見直しや外国人労働者の受け入れ等、整備が急がれます。