2014年3月 vol.149

2014年03月10日

 徐々に春の気配を感じる今日この頃です。春の陽射しと時折流れ込む冷たい空気が体感的に3年前の記憶を甦らせます。あの東日本大震災から3年の歳月が流れました。各地では鎮魂や復興を願う行事が催されておりますが、それぞれの胸に様々な思いが交錯していることと思います。


 短時間で賑わいを取り戻した仙台市中心部、徐々に人々の暮らしが戻り始めた郊外。一方で、集団移転や再開発など一向に出口の見えない沿岸部。更には原発で自治体の存続すら危ぶまれる地域さえもあります。被災地には巨額の国家予算が投入され、加えて民間投資により他県からも相当の人・モノ・カネが流れ込んでいます。ところが、業種や地域により復興のスピード感にも相当の格差が生じています。復興の陰で、局地的分野においてバブルのような異様な盛り上がりを見ているような気がしてなりません。
 

 ここで宮城県の公表データを見ながら復興の現状と今後の不動産市場の展望をおさえておきたいと思います。もともと県では、震災から10年間で復興の道筋を立てる計画を示していました。これによると、今年平成26年から平成29年までの4年間は再生期と位置付けられており、更にその後3年間の発展期を経て復興に結び付けるとしております。これからの道程は、良くも悪くも東京オリンピックと時を同じくすることになり、両者が経済のエンジンとなることが期待されますが、弊害として建設費の高騰等で互いに足を引っ張り合うということも想定されます。
 

 県内の仮設住宅には、1月末時点で36,997戸/88,006人(うちプレハブ仮設18,987戸/43,266人)もの方々が未だ入居中です。これを震災発生から1年経過時点の平成24年4月期と比較しますと、▲10,864戸/▲35,624人の方々が何らかの形により退去しております。この数をどう解釈するかは様々だと思いますが、少なくとも2年足らずの期間に約10,000戸の不動産、建設関連の特需があったことは明らかです(原則仮設から仮設への転居はできません)。それでも、復興の遅れを指摘する声に各自治体では復興公営住宅の建設を加速させる方針で、計画では15,608戸の供給が予定されております。現時点における完成住戸は約2%ですが、約65%が既に着手済でありその完成が待たれます。更に復興庁のデータによれば、防災集団移転や区画整理により11,700戸分の住宅用地が供給されることが計画されております。しかし、これらを差し引いても残り約10,000戸弱の方々が別の手段による自主再建を果たさなくてはならない計算になります。全ての復興公営住宅、集団移転先の完成まで仮設住宅の制度は継続されることになるでしょうから、県が掲げる復興までの今後7年間は民間借上げ住宅の需要が続くと推測されます。
 

 関連して注視すべきは仙台市の人口動向です。仙台市の人口は平成22年の国勢調査で104万6千人、現在は107万人、2万4千人2.2%増加した計算です。このデータからも読み取れるように、恐らくは被災地を離れ都市部へ移転する方々は今後も続くと予想されます。宮城県内はもとより東北における仙台への一極集中は加速するものと考えられます。
 

 未曽有の大震災から3年。被災地の景色は変わりました。被災し、立ち止まったままの方、一歩ずつでも歩き始めた方、飛躍した方、本当に様々だと思います。国は復興に向け被災地に巨額の予算を投入しました。しかし、本当の復興は地域住民一人、一人の力に委ねられていることを忘れてはならないと思います。国が何でも支援してくれると思ったら大間違い。与えられた街に息吹を注ぐのは、住民一人一人の義務だと思うのです。頑張ろう東北!!