2013年9月 vol.143

2013年09月10日

 全国的に記録的猛暑となったこの夏、水不足が深刻化する地域がある一方で、竜巻や集中豪雨により甚大な被害に見舞われた地域もあります。この皮肉なまでの気象バランスの悪さを嘆かずにはいられません。


 さて、今年9月1日で関東大震災から90年という節目をむかえました。特に関東や東海地区では、そう遠くない将来巨大地震の発生が予測されており、人々の防災意識も必然的に高まっているはずです。東日本大震災の発生からも早いもので二年半をむかえようとしていますが、時が経つにつれ法律や制度の壁など様々な現実と問題に直面しています。以前も取り上げましたが、巨大防波堤の建設は、震災後には誰もが必要と認めていたはずでしたが、時間の経過がそれを許容できなくしています。生命を守るのは自治体の役目ですから、予算を確保したい県と防波堤建設に反対する地元との調整にはもう少し時間が必要のようです。こうした土木構造物の寿命は50年から100年程度でしょうか。数百年、千年に一度とも言われる大津波に我々世代が対応する必要性があるのか、そうとは言えいつ発生するか分からないのが自然災害の恐ろしさです。我が国の財政と人口構造を見ればこれらの構築物を未来永劫維持し続けるのは困難です。そうかと言って、今回予算を確保しなければ、今後これだけの予算を付けるのは不可能なのです。その究極の選択を迫られているのです。
 

 町の復興はどうでしょうか?集団移転の移転先を確保できている自治体とそうでない自治体によっても、復興のスピードに格差が出始めています。遅々として進まぬ復興に業を煮やして現地再建する人、町を後にする人、または経済的に行政の対応を待たざるを得ない人。もはや、これらの状況をコントロールするには手遅れかもしれません。むしろ、震災の混乱の中で国が強烈なリーダーシップをもって荒療治を断行していれば、もっと復興のスピードは速かったのではないでしょうか。完全にタイミングを逸してしまった感は否めません。
 

 宮城県では仮設住宅約4万世帯(仮設住宅2万2千世帯・みなし仮設住宅1万8千世帯)の期間延長を国に申請し、一年間の延長が決定しました。裏を返せば、復興公営住宅の供給や町の復興の遅れが浮き彫りとなった形と言えます。生活支援という観点では大変ありがたいことですが、4万世帯もの住宅の生活実態を個別に把握することは困難なことです。その中の世帯では既に自立した生活が可能となった世帯も少なくないはずです。仮設住宅に税金を投入している以上、県も実態の把握に務めるべき時期に入ったのではないでしょうか。
 

 ここにきて、民間の賃貸住宅の空室が徐々に目立ちはじめてきています。要因はいくつかあります。例えば、県外からの流入に陰りが出始めてきたことや、新築物件の供給が回復してきたこと、みなし仮設住宅からの退去等。そして、なによりも世間一般の先入観により引き続き物件不足と認識されているあまり、賃貸市場全体の需要が喚起できていないところが大きいと考えられます。
 

 原稿を書き終えたところに、2020年東京五輪開催決定のビッグニュースが届きました。これを契機に長年続いた我が国の閉塞感にピリオドがうたれることを願います。