2013年8月 vol.142

2013年08月10日

 残暑お見舞い申し上げます。東北地方では先だってまで夏を忘れたかのような梅雨空が続いておりましたので、今年は本当に短い夏となりそうです。


 去る5月に冒険家の三浦雄一郎さんが80歳にして三度目のエベレスト登頂に成功されました。このニュースは、日本はもちろんのこと世界中で報道されました。しかも、今回は二度の心臓手術を乗り越えての快挙です。その老いと戦いながら夢を諦めないチャレンジ精神に共感を覚えた方も多いのではないでしょうか。私自身も、日常の仕事に置き換えて考えてみると、参考となる点が非常に多いことに改めて気づきました。
 

 三浦氏は、ある雑誌のインタビューで同年代の方々と比較された際に次のように述べています。「みんな自分で諦めている。年をとるとできない理由ばかりを一生懸命考える」と。でもこれは年齢だけの問題ではありませんね。日常の生活や仕事においても同じことが言えると思います。最近のビジネスを見ているとある意味で非常に要領が良い。交渉ごとになると、お客様と会社のどちらを説得した方が自分にとって有利かを瞬時に考える。その結果、社内での立場や上司の顔色ばかりを気にして、コンプライアンスだとか規定だとかと言い訳を並べてはお客様に無理を押し付けたりする。実は、できる方法を探す前に一番楽な方法を選んでいるのです。これでは、どこを向いて仕事をしているかわかりません。皮肉にも、そんな会社に限って「お客様第一主義」などと立派な社是を掲げていたりするものです。我が社も気を付けなければなりません。
 

 三浦氏は、76歳のころ、スキーのジャンプに失敗し、骨盤を骨折し全治6ヶ月の診断を受けています。その際に、歩けるようになれば上々で、再起不能という危機に直面しました。ところが、2ケ月半で骨がくっつき、車椅子での歩行が可能になると3ヶ月程でゴルフができるまでに回復したそうです。強靭な体であったことはもちろんのことですが、もう一度、スキーがしたいという挑戦心がその奇跡的な回復につながったのです。 
 その三浦氏いわく、「人生は壁の連続であり、壁は乗り越えるしかない。山でも死んだ方がましというくらい苦しくなる。ある意味、死ぬ方が簡単だけど、最後の最後まで生き抜き最後は笑って死ねればいい」と語っています。次から次に大きな目標を掲げ、有言実行で記録を打ち立ててきた方だけに、ごく当たり前の一言一言に説得力があります。何か現代社会へのメッセージのようにも聞こえてきます。続けて、「心の中で目標を持ち続けること」、「あれをやっておけばよかったと後悔しないように生きること」とのコメントが実に印象的でした。

 

 我々の日常はどうでしょうか?何となく叶えば良いなという程度の希望を持てても、明確にぶれない目標を持ち続けることは、簡単なようで意外と難しいものです。夢の実現のためには決して諦めない目標を強く持ち続けることが必要です。三浦氏の老いと戦う姿に、その目標達成のために継続的な努力が必要であることを学んだような気がします。そして、我々企業が掲げる目標に社会的な大義が存在すれば、どのような時代においても生き抜くことができ、社会も自らも豊かになることができるでしょう。