2013年4月 vol.138

2013年04月10日

 各地で春の嵐が吹き荒れ、満開の桜もあっと言う間に花吹雪と化してしまいました。しかし、東北はこれからが春本番、桜の開花が待ち遠しい毎日です。


 安倍政権の発足から100日が経過したそうです。経済政策の三本の矢やアベノミクスなる造語にも代表されるように、その先行した期待感は疾風怒濤のごとく日本中を駆け巡った感さえあります。総理の一挙手一投足に市場が反応するという異様なまでの現象は、長い間続いてきた決められない政治に対する反動の表れなのでしょうか。
 

 さて、東日本大震災から2年が経過したわけですが、福島第一原発の事態の収束には未だ程遠く、ただただ風評と風化の現実にさらされています。もちろん、我々が知りえる情報などほんの一部であり、現場では想像を絶するような戦いが続いているのだと思います。予想されていたこととはいえ、ここにきて汚染水の処理問題も深刻な状況が報告されております。震災ガレキが海の向こうの西海岸や北米に漂着しているわけですから、汚染水もその処理方法いかんでは国際社会から非難を浴びることは必至です。
 さて、聞くところによれば、被災地への帰還を希望する方の割合も震災直後から比べると月日と共に減少傾向にあるそうです。希望と現実の狭間に被災者の方々の心も揺れ動いているものと思うと何とも複雑です。福島県内の除染には1兆5千万円以上の費用がかかるとの試算もあります。これらの費用を捻出したとしても、町を再生できる保証はどこにもありません。そして、各地の沿岸部には、これから巨大な防波堤の建設が計画されています。もちろん、人々の安全を守るためのものです。しかし、巨大な防波堤は景観を損なうだけでなく、津波の襲来を察知できないという盲点も指摘され始めています。しかも、いつ来るかわからないものに対し莫大な予算がつぎ込まれることを疑問視する声も聞かれます。歴史に学べば、文化財包蔵地が高台や海から離れた内陸に多いのも頷けます。何度となく我々の先祖は、津波等の大災害に直面しては、その都度、暮らしの拠点を移しながら、時の経過とともに海沿いに集落を形成してきたのでしょう。

 

 話しは戻ります。護岸工事が徐々に進み始める中、資材や人手の確保が問題となっているのは言うまでもありませんが、その結果、その他の公共事業の入札不調が相次いでおり、復興の妨げとなっています。民間工事も例外ではありません。良質な住宅が適正な価格でかつ早期着工できないことは、被災者の生活再建にも少なからず影響を及ぼしています。
 各地の災害公営住宅の着工件数・完成件数は残念ながら共に低水準にあります。国が莫大な予算を確保しても、縦割りの行政の仕組みがそれを機能させていません。災害復興住宅では、よりスピーディさが求められるため、自治体が用地を取得して建築をする方法に加え、敷地提案買取方式で完成した土地建物を自治体が買い受ける手法も用いられています。ところが、遅々として進まないのは、土地の確保が困難なのに加え建築コストの問題もあるでしょうし、建設各社が施工体制をとれない現実もあります。そして、何よりも妨げになっているのは難しい仕組みのような気がします。結果として、望まれない公営住宅が供給されたとしても入居を促すに及ばなければ、これも税金の無駄遣いと言わざるを得ません。

 

 現段階においては、人手や資材不足は局地的なことですが、全国的に国土強靭化計画に伴い、公共事業が拡大した場合、被災地から一気に人材が引き上げてしまう懸念さえあります。国はこの災害が非常事態であると認識したはずです。単なる予算の確保だけではなく、各省庁や自治体の壁を排除した大胆な規制緩和こそが復興を加速させるものであると強く思うのです。