2012年8月 vol.130

2012年08月10日

 残暑お見舞い申し上げます。うだるような暑さと蝉しぐれ。遠く少年時代の夏休みの残像が微かに蘇ります。


 日本中がロンドンオリンピックの熱狂に包まれております。国民の期待を背負い、それぞれの選手が戦い、感動を与えてくれています。まだまだ暑い熱戦が続きますが、くれぐれも寝不足には注意致しましょう。宇宙の彼方では、NASAの火星探査機が火星へ着陸しました。いよいよ、火星における生命の痕跡調査が始まります。聞くところでは、水脈の形跡が見られるなど、生命が存在した可能性もあるようで、こちらも興味深い話となりそうです。
 

 さて、東日本大震災や消費増税論議の陰で、いつの間にか相続税の増税案が棚上げとなっておりましたが、比較的信憑性の高い情報としては、平成27年度からの増税が確実視されております。そもそもこれだけの長寿社会ともなれば、お亡くなりになる方の相続人も高齢者が圧倒的に多いわけで、その下の世代には中々お金が回ってこないのが現実です。それらを少しでも解消しようと相続時精算課税制度をはじめ、贈与税の軽減措置がとられてきました。国民の金融資産の多くを占める中高年の資産をどうにかして世の中に配分したいのがお役人の考えることであります。
 

 次のような興味深い話があります。現代の20代は実に堅実で、節約をしながらコツコツと貯蓄をしています。バブル経済崩壊後に幼少期を過ごし、物心のついたころには親が苦労して働く姿を見ながら育ってきたと言われる世代です。私たち少し前の世代からすると少々気の毒な感じさえしますが、彼らからすればその環境が当たり前なのです。それに、必ずしも不幸なことばかりではありません。長引くデフレでモノは安いし、ネットの普及によりバーチャルな世界の中でいろんなことを楽しむこともできます。好景気の時代のように、高い酒を飲んで洒落たレストランで大金を叩くことも少ないでしょうし、高価なブランド物にこだわらなくてもお洒落もできる。海外旅行は今や国内旅行より安かったりします。見栄を張って苦しいローンを抱えながら高級車を乗り回さなくてもいいでしょうし、土地も家も金利も安くなって、おまけに住宅の性能は劇的に良くなっています。世の中うまくバランスが取れているんですね。
 

 関連することで更に話を進めます。先の20代よりも、社会人になった途端にバブルを経験した40代は現代の不況で理想と現実とのギャップを受け入れられず、非常に不満感が強い世代と言われています。会社内の立場で言えば、「肩書きだけの出世と上司と部下との板挟み」です。一説によると、社会人になって間もないころの消費行動が将来にわたり形成されていくのだそうです。ですから、好景気に育ち、そして就職したこの世代はブランド志向や本物志向が養われてしまったにもかかわらず、所得がそれについて行けず、不幸感が先行してしまうのだとか。こうした方々の多くは本物志向が強く生活水準を落としたくないため、貯蓄よりも消費を優先する傾向が強いと言われます。もう一つの理由として、そこそこ年収があるため、いざとなればいつでもお金を作れるとの油断が支配しているのだと思います。
 

 世代間の経済環境が価値観と消費行動に様々な影響を与えるのは言うまでもありませんが、消費をけん引するはずのこれからの世代に過度な期待と負担を背負わなくてはならない我が国の事情を悲観せずにはいられません。