2012年6月 vol.128

2012年06月10日

 梅雨前線が活発化し本州の広い範囲で梅雨入りとなりそうです。これからしばらくの間、梅雨空との付き合いが続きますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。


 さて、ギリシャの経済不安に端を発したユーロ問題は、スペイン、イタリアの深刻な経済状況をも浮き彫りにする結果となり、ユーロ圏の情勢不安が世界経済にも飛び火する勢いです。これには先進各国も手の打ちようが無い状況です。我が国が抱える財政問題や社会保障の行方と同様、先進国の経済は軒並み頭打ちで、頼りの綱であるはずの中国、インド、ブラジルもここにきて経済成長が減速傾向にあります。リーマンショック同様、海外での出来事が日本に及ぼす影響は計り知れません。
 

 話しを国内に戻します。被災地にいるせいか、最近、不況であることをあまり感じたことが無いというのが率直なところです。東北を支援しようとする動きとリスク分散を図る両方の意味合いもあり、東北への大企業進出が目立ちます。また、東北の上場企業各社は軒並み過去最高益を更新しています。こちらも復興特需の恩恵によるところが大きいと思われます。今年度は復興に向けた動きが更に本格化し、宮城県内における公共投資額は過去最高に迫る勢いです。もちろん、復旧・復興に向けた投資が経済をけん引していたことは言うまでもありませんが、これまでは義援金や保険金そしてみなし仮設住宅による家賃負担の軽減等直接的支援が経済を押し上げてきた感も否めませんでした。しかし、ここにきて本格的公共投資が加わり更なる経済効果が期待されます。宝飾品や高級腕時計、高級車が売れ、歓楽街も娯楽施設も、飲食店に小売店も震災前をしのぐ賑わいです。これらは全て金の好循環がもたらしたものに違いありません。この現状を目の当たりにして日本経済は被災三県がけん引しているとさえ思えます。そして、ここに日本経済復活のヒントがあるように思えるのです。
 

 日本経済が疲弊する中、いつの間にか公共投資は悪とのレッテルを貼られ、現与党も「コンクリートから人へ」を旗印にして誕生しました。良し悪しは別として、振り返って見れば公共工事は様々な効果をもたらしてきました。用地買収による代金が地権者へ渡り住宅の建設や消費に回る。地元の建設会社が工事を受注し、雇用を生み消費が生まれる。完成した施設が地域に与える利益に加え、維持管理からも雇用が生まれる。特に地方では農閑期の雇用に重要な役割を果たしてきたと言えます。こうして作られてきた施設は利用者の減少や老朽化により、その維持費等が問題視されています。震災後、特に注目を集めているのが首都高速道路等の老朽化問題です。これらの老朽化問題は都市部以上に利用者が少ない地方の方が深刻な問題です。逆転の発想で、こうした施設の維持・管理や再構築を実施することにより経済の底上げを図るのです。もちろん、むやみやたらと言うわけではありません。以前にもお話ししたコンパクトシティの発想で、リストラと集約、そして交通網の再整備を行うのです。
 

 我が国は、今後も自然災害と向き合って行かなければなりません。東日本大震災後、多くの研究者が各地に地震や津波に関する警鐘を鳴らしています。人々の不安が観光や地価、住民生活等の思わぬところに大きな影を落とす結果となっています。この安全のために街づくりそのものを根本から見直し、大胆な投資をすることで我が国は必ず活性化されると信じます。そして、過去の公共投資の失敗例に学び、既得権益の温床にならぬようチェック機能を持たせ、更には効果が一過性のものに終らないような仕組みづくりをすることが最も重要です。