2012年5月 vol.127

2012年05月10日

 満開の桜から新緑へと季節のリレーは駆け足で日本列島を北上中です。そんな最中、ゴールデンウィーク後半に東日本を異常気象が襲いました。東日本大震災を境に頻発する余震、大雪やゲリラ豪雨に、巨大竜巻。日本列島が想定外の自然サイクルに突入したかのようにさえ思えます。
 その竜巻被害ですが、茨城や栃木を中心に甚大なものとなりました。東日本大震災を経験した者として真っ先に思い浮かぶのは、被災者の方の心痛はいかばかりなのか、ただただ早期復興を祈るばかりです。そして、次に被災者には政府による手厚い支援があるのだろうかとの思いです。東日本大震災のインパクトが強過ぎるため、今回の竜巻被害が軽視されないことを祈ります。以前にも話しましたが、震災により苦しんでいる方々がたくさんいらっしゃる一方で、義援金やみなし仮設住宅制度をうまく利用し潤っている人も少なくありません。後者が手厚く保護され、竜巻被害が軽視されるようならば、制度の矛盾を批判せずにはいられません。


 話は変わりますが、仙台圏の不動産市況について触れてみたいと思います。ここにきて賃貸、売買ともに一服感があります。ご承知の通り、みなし仮設住宅や外部からの流入による特需で仙台圏の賃貸住宅は一瞬にして稼働率が上昇しました。現在に至っても高い水準の稼働率をキープしています。しかしながら、企業が異動を控えたり、一般の方の間にも物件不足の先入観が浸透し、ここにきて需要を喚起できていない感も否めません。その結果、需給関係が小さくまとまってしまい既存空室の成約率は低水準で推移しそうです。オフィス関係では、被災したビルからの移転や新規進出等により大規模なビルを中心に入居状況が改善され、中小のビルも震災前より需要は高まっています。但し、ここで明暗を分けるのは昭和56年6月以降に建築確認申請がなされたいわゆる新耐震か否かです。市場はより安全性を重視しています。また、流通団地付近では被災した企業の特需で殆ど物件が無い状態です。津波エリアに目を向けると、資材置き場や仮事務所または宿舎等を建築する動きが活発です。何れも復興に向けた建設関連企業の動きです。これに伴い、周辺の流通店舗等も新規出店に積極的ですが、既存建物の解体も進み未利用の宅地の供給も増えていることからテナント側に選択の余地があり、経済条件を押し上げるまでには至っていません。
 

 不動産売買については、高止まりを見せていますが、一時のように一つの物件に対し申し込みが殺到し争奪戦となるような動きは終息した模様です。要因は様々考えられますが、個人的には次のように分析しています。緊急を要する被災者の購入需要がある程度満たされた。早期着工できる住宅メーカーが少なく、土地を先行取得する動きが弱まりつつある。仮設住宅の借り上げ期間が延長される見通しで、切迫して住宅を探す動きが弱まった。集団移転等の見通しや保障が不透明で身動きが取れない等々。このように潜在需要はあるが、多くの方々が静観している傾向が強いと推測されます。
 

 更に種別ごとに状況を見ていくと、一戸建て、マンションともに新築に人気が集中。中古の場合は、被災度合いや耐震性能が決め手となっています。土地については、依然として内陸高台志向が強い他、擁壁や地盤の強度にも関心が集まります。一棟物のマンションやビルのような事業用物件は入居率が改善された結果、手放す方が少なく流通量が少ないのが実情です。純投資の動きが活発化する中、高利回り物件を狙う買い側と、このタイミングで高く売り抜けたい売り側との様々な思惑が交錯しています。
 

 復興特需による景況感は、被災者以外の消費マインドも向上させ不動産市場全体を底上げしてきましたが、総じて言えば不動産市場の瞬間的ピークは過ぎたと考えられます。今後は、復興計画等により局地的に加熱を見せるエリアがある可能性を付け加えておきます。