2012年4月 vol.126

2012年04月10日

 厳しかった寒さも過ぎ、桜咲く季節を迎えました。昨年の自粛ムードから一転、今年は各地で昨年の分までお花見を楽しんでおられることでしょう。


 さて、東日本大震災を境に、ここのところ研究者の間で地震に関する予測や警鐘を鳴らす動きが活発です。首都直下地震や南海トラフ巨大地震等、以前から地震発生が懸念されていた地域の予測データが大きく更新されました。これが単なる研究チームの予測ではなく、国の検討会が公表したものであるため無視もできません。沿岸部の一部の地域では、防災計画そのものを早急に一から見直さなければなりません。悲観的に考えれば病気の宣告のようでもありますが、受け止め方によっては、新たな街づくりのチャンスでもあり、地域活性化の起爆剤として期待できないでしょうか。
 

 現在、岩手、宮城、福島の三県を中心に復興に向けた計画が進行中で、向こう数年間で20兆円規模の予算が確保される見込みです。詳細に関しては分かりませんが、現地再建が困難で都市計画自体を見直さなくてはならない地域については、復興まで相当の歳月を要するものと思われます。そもそも、高齢化が進んでいる地域にとって、少しの猶予も許されないわけですが、時間のロスが原因で住民が戻らなければ、税金が有効に使われたとは言えません。全ては悪循環です。
 今回、不幸にも震災により、このような復興計画の議論を余儀なくされていますが、それにとどまらず、少子高齢化という構造的問題を抱える国土全体を逆転の発想で再構築できないものでしょうか。例えば、集団移転等、地域の特性を生かし集約と分散により、防災に重点を置いた街づくりを推し進めるのです。現在、限界集落は増加の一途を辿っています。豪雪地帯では除雪コストや労力の負担が重くのしかかりますし、農林水産業も後継者不足は深刻です。この財政難の中、過疎が加速すれば行政のサービスも不効率となります。しかし、こうした集落は日本の原風景であり大切な財産です。国が計画的に移転を促し保存して、田畑や港は法人化し、既存の住宅は宿やレストラン等に転用、観光拠点とし産業と雇用を創出するのです。もちろん、人材確保のための宿舎等は、周辺に集約し高齢化率を抑えます。集約と分散を徹底するために、国が国土計画を策定し、地域ごとの役割を明確に示します。それらを道州制の導入により、権限は地域に移譲する。その壮大な計画を施行することにより、高速道路、鉄道等の整備を新たに推進すれば、限界集落のみならず、都市機能や産業も合理的に集約と分散を進めることができ、各地に完成したコンパクトシティ同士が大動脈により結ばれます。防災機能を高めた地方都市には災害時に備え首都機能の一部を移管させ、そこには人々が集中し商工業が成り立ち、計画的に保存した集落は内外からの観光客で賑わいます。そして、インフラの整備には莫大な金が動き、雇用が創出され、やがて経済は好循環へと新たな局面を迎えるのです。その予算は特別国債の発行で補います。以前から議論されて来ましたが、国債を相続の課税財産から控除し非課税扱いとすれば、富裕層の金融資産から合理的に調達できるはずです。

 

 人々には皆故郷があります。それらを無視した議論をするつもりはありませんが、このままでは地方が衰退する一方です。これまでの政策は、あまりにも均一的なものを追求し過ぎた結果、地域の特性まで犠牲にしてしまい、都市と田舎で格差が生じてしまったのです。今こそ、我が国を再生する時です。