2011年11月 vol.121

2011年11月10日

 各地で夏日を記録するなど、温かい日が続いておりましたが、暦の上では立冬です。秋の深まりが日増しに冬の気配を運んでいます。


 さて、タイを襲った大洪水、歴史的な円高が我が国の製造業に深刻なダメージを与えております。ギリシャ問題はイタリアへも飛び火し、今や世界中にその火種がくすぶっております。このところのアメリカの苦悩に象徴されるように、どの先進国も新興国頼み。その新興国にも黄信号が点灯し始めており、資本主義経済の限界を感じずにはいられません。産業革命から200年余り、人間社会が劇的な豊かさを手にした一方で、その限界は思ったより現実的なところにありました。こうした中、先ごろ世界の総人口が70億人を突破したと伝えられたばかりです。このまま進めば2100年には世界の人口が100億人を突破すると予想され、かつ高齢化率も高まります。日進月歩とは言いますが、技術の進歩をはるかに上回るスピードで人口が増加し、エネルギーや食糧不足をカバーすることは困難です。
 

 国内に話題を戻します。先ごろ報道された大手電機メーカーのテレビ事業の縮小や撤退は非常にインパクトが大きいものとなりました。我が国の製造業がGDPに占める割合は2割程度であり、円高による影響は限定的との楽観論もあります。しかしながら、円高以外にも新興国メーカーの台頭等で以前のような日本メーカーの優位性はありません。日本企業はこれまでも幾多の試練に直面するたび競争力を養って参りましたが、相次ぐ合理化の果て更に身を削ることになれば、今度は骨を削るしかありません。事態の長期化で、地方工場の撤退を加速させれば、工場地帯等を抱える自治体には相当のダメージです。税収はもちろんのこと、地域の雇用や住宅・店舗・駐車場といった不動産の流通、そして多くの消費等の根幹を揺るがすことになります。TPP問題でも注目されている農業分野でも、こうした工場への就職が農業後継者の受け皿となり、兼業農家という形で農村の高齢化を下支えしている面も否定できません。
 

 大増税時代は目前まで迫っております。自分の身は自分で守らなければなりません。今の政治は努力した結果報われない人間と、努力しないで生きている人間を同様に保護しています。挙句の果てに「応分の負担」と称して、努力した人間に相当の負担を課そうとしているのです。先ごろ、国税庁は東日本大震災による被災地の路線価に対し、臨時特例として調整率の適用を設け公表しました。これにより、震災前に取得した土地で震災後に申告期限が到来するものについては、震災による地価下落を反映させ「震災発生直後の評価」によることができます。また、申告の便宜・課税の公平性等の観点からも、この調整率を指定区域内の平成23年度路線価に乗じて計算できるとしています(路線価は、実勢価格の8割程度を目安に相続税や贈与税を課税する際の基準とされています)。宮城県内の調整率は0.2~0.9のようです。ちなみに仙台市中心部は0.85です。少々不謹慎かもしれませんが、この評価を利用して合法的に不動産の贈与を検討されてみてはいかがでしょうか?例えば、実勢価格1億円の土地を所有していたとします。路線価では8000万円の評価であり、更地の場合、これが相続財産として評価されます。今回、甚大な被害を受けたエリアで仮に調整率が0.3だったとすると2400万円の評価となります。相続時精算課税制度を利用すれば、1億円の土地を非課税で贈与できることになります。相続時精算課税制度を利用される場合の留意点として、相続発生時にその贈与された財産は贈与時の価格で相続財産に組み込まれ評価されます。前例は、後に不動産価格が上昇することが前提で相続時に有利な条件となるわけです。その他、適用要件や手続法もありますのでご利用の際は税理士等の専門家へ相談されることをお勧めします。