2011年8月 vol.118

2011年08月10日

 東北の空にも真夏の太陽が戻って参りました。電力不足が懸念されるこの夏、皆様も思い思いに工夫をされていることでしょう。


 ついつい震災の話しになってしまいます。被災地ではいつの間にか不景気という言葉を聞かなくなりました。震災のインパクトがあまりにも強すぎたからでしょうか?それだけではありません。どなたとお話ししても「忙しい、忙しい」と口をそろえておっしゃいます。今更の話しではありますが、過去の大災害のときにも同じような復興特需があったと聞いています。加えて、今回の震災では他の要素も加わりプチバブルが起きています。甚大な被害を受けた地域の方にはやや不謹慎な話しかもしれませんが、仙台近郊では明らかにこうです。
 

 建設・土木業界に追い風なのはもちろんのこと。家具・家電の買い替え。復興支援の方々や様々な思惑で進出してくる企業等で、仙台圏内のホテルは予約が取れない状況が続いています。最近では復興ツアーなる企画まで登場し被災地の温泉も大賑わいだそうです。まだまだ店の復興が遅れているエリアでは、復興支援の関係者が昼夜を問わず買い物や食事で大量消費しますから、いち早く開店したコンビニエンスストアや外食チェーンは相当忙しいことと思います。更に、単身・長期滞在の方が多いため客単価も上昇していると思われます。東北を代表する歓楽街国分町も夜の息抜きで近年に無い賑わいを見せており、これらの余波は明らかに多くの業界にも波及しているはずです。プチバブルのエンジンはそれにとどまりません。この震災で政府が保険各社に命じたのは、保険金を惜しみなく出すことでした。宮城県の地震保険加入率は約3割と全国平均を上回ります。家財保険に至っては、ヒアリングのみで損保各社が保険金の支払いに応じましたので、実損額を上回る保険金を受け取った方も少なくありません。度を越したお手盛りに、後から指導が入ったとの裏話もあるくらいです。何れ、その可処分所得が消費の原動力になっているのは紛れもない事実です。
 

 不動産はどうでしょうか。沿岸部で被災した方の中には安全な場所を求め、仙台圏に住宅を購入する動きも見られ、高騰とまでは行かなくも値引き無しに取引が成立する事例が多くなりました。賃貸では、アパートや事務所の需要が急激に増加しました。そして、少し複雑な思いも話さなければなりません。自治体によっては、被災エリア全体を「全壊」あるいは「大規模半壊」と判定しています。集合住宅に至っては一棟全体で被害判定します。震災時にその地域に住民票があれば被災の程度にかかわらず、その判定のもと義援金を得ることができます。仮に1階で床上浸水した世帯も上階で何の被害も無かった世帯も取り扱いは同一です。これについては手続きの簡略化という点で止むを得ない気もしますが、補償判定で不公平感が生じているのも事実です。
 

 また、宮城県の借上げ住宅制度にも盲点がありました。大規模半壊以上の判定を受けていれば被災の有無にかかわらず被災者となる訳ですから、賃貸住宅に住んでいる方にとってみれば、既存のアパートに従来どおり賃料を支払うよりも、この制度を利用して引越し、2年間家賃負担を無くし、更に義援金で100万円単位の大金を手にすることが可能です。義援金は甚大な被害を受けた方にはスズメの涙ほどに過ぎないですが、立場が代われば泡銭同然です。よって、二重・三重の利益を享受することになるのです。だから、失業しても当座の金は足りている、暇を持て余しその金を握りしめ・・・。復興の影でこんなマネーが流通しているのです。
 

 ちなみにこれらの制度は生活支援が目的ですから、被災した賃貸住宅の家主には一切補助はありません。当社で管理するアパートでも津波の被害を受けた入居者が片づけを行なわないまま帰郷してしまった例があります。その間、入居者とは連絡がつかず復旧の妨げとなってしまい、挙句の果てに家財道具を放棄し、前述の借上げ制度を利用し別のアパートへと引っ越していかれました。自分でお金をはたいて買った住まいでは考えられないことです。
 

 これが仙台圏におけるプチバブルの正体のほんの一部です。もっとも、こんな議論ができるほど街は復興しつつあります。しかし、沿岸部の被災地ではまだまだこのような状況にありません。本当に支援が必要な方々にお金も手も回っていない現実。皆様はどう思われますか。