2011年3月 vol.113

2011年03月10日

 仙台では春の訪れを前に3月に大雪が降るとよく言われています。三寒四温。徐々にではありますが確実に季節は春へと向かっている。そう感じる今日この頃です。


 さて、春の衆院予算委員会が大詰めを迎えています。与野党のくだらない攻防を見ていると、出口の見えない景気のトンネルの中、一体この人達は誰のために政治家を務めているんだ。そう嘆きたくなります。戦国の混乱の世を駆けぬけ天下泰平の時代を築いた徳川家康。現代の政治的混乱が続く我が国の現状を見たならば、そこに何を思うのでしょうか。
 


 話しは、また現代に戻ります。今回は権利について少し触れてみたいと思います。とは言いましても私も法律家ではありませんので、私の経験に基づくものをちょっとだけご紹介する程度です。ずいぶん前の話ですが、分譲マンションの一室を所有されている方からの相談で、その一室を賃貸することになりました。所有者自身が転勤のためマンションを空き家にすることがその理由でした。幸いにも借主がすぐに見つかり、時間の経過とともに2順、3順と借主の入れ替わりもスムーズに運びました。ある日、貸主様より連絡が入り、転勤で仙台に戻ることを告げられました。貸主様にとっては、待ちに待ったマイホームへのお帰りです。無理もありません、その方はマンション購入後ほどなくして転勤でマンションを貸すことになったのですから、既に自己使用期間よりも賃貸した期間の方が長くなっていたのです。賃貸借契約書によれば解約予告は6ヶ月前、借主は大手法人、借主の退去までの間は貸主様が他のアパートに仮住まいすることにしました。解約通知書を作成し弁護士のチェックを経て借主へ発送しました。数週間が経過し、借主から届いた文書は以外にも代理人弁護士からの反論でした。それによれば「契約期間が既に自動更新され、その期間内は契約が継続される」との主張です。民法上は貸主からの解約予告は6ヶ月前。貸主の正当事由が求められますが、その正当事由とは貸主に住まいが無いなど適用が極めて限定的です。このケースは正に正当事由に値します。こうした紛争での争点は、貸主、借主のどちらが住宅の必要性に迫られているかです。契約書には「借主は名目形式の如何を問わず、立ち退き料等を請求できない」と記載されていたのですが、それにもかかわらず、十数回にわたる交渉の結果、貸主様が立ち退き料を支払うことによりお互いが歩み寄り、任意で解決するに至りました。その際に貸主様から頂戴した言葉は「何のための契約書なんだ」でした。ごもっともなお言葉です。
 

 前述の例と消費者契約法は無関係ですが、約束の履行という点で少なからず共通するものがあります。近年では消費者契約法が施行され、消費者の権利が手厚く保護されるようになりました。これ自体は非常に歓迎できることです。しかし、他の法律が整備されないままに消費者契約法だけが先行し、他の法律との統一性が保たれなくなってはいないでしょうか。結果として、契約書が紙切れ同然に扱われてしまい、約定を履行するというごく当たり前の秩序が乱されている。消費者を悪質な事業者から守るという法の精神は誇大解釈され、逆に悪質な消費者が健全な事業者を苦しめているような気さえもします。
 

 以前、このコラムでも取り上げましたが、賃貸物件の更新料裁判について、この6月に最高裁での弁論を経て3件の訴訟の統一判断が示されることになります。もちろん、健全な判断が下されることに期待したいと思います。更新料の返還請求が認められるようならば、多くの不動産賃貸業も消費者金融の過払い請求のそれと何ら変わらなくなってしまう。我が国の特有の曖昧さというか玉虫色の部分は、これまでの日本人の協調性の上に成り立っていた表現です。それが機能しないのならば、まずはきちんと法律の整備を進めるべきだと思うのです。